はたらくこと(彼の場合) その1

彼はこれからの新生活に夢と希望を持っていた。あこがれの一人暮らし。自活。希望していた職業への就職。夢と希望は彼の気持ちを奮い立たせ新生活に心躍らせていた。現に入社当時は毎日が充実していた。何より希望していた就職先。必死になって仕事を覚え、そして気の合う同僚たちと面倒見の良い上司にも恵まれ、彼は仕事が楽しかった。ただひとつ労働時間を除いては。それは彼が予想していた以上の過酷な勤務時間だった。残業が続く。続く。続く。人員不足もあった。たまたま、その年は新しく開業した場所での仕事だったため繁忙が続いたのだ。ただ仕事をすればしただけそれは賃金となって自分に戻ってくる。「割り切ればいい.....」彼は自分に言い聞かせて仕事に没頭した。だが、少しずつ少しずつ仕事への疑問が自分の中に芽生えてきた。「オレは何をしているのだろう。自分の時間が欲しい。ただ寝て起きて仕事へ向かい戻るだけの暮らし。それはオレが望んだことでは無い。」同僚にグチをこぼすようになった。「ここはこういうところなんだから仕方ないさ....」同僚はひとことそう云った。「そうだよな...」そう思いながらも、彼が一度、思い起こしてしまった自分の今のこと、そして今後のこと。頭から離れることが出来なくなってしまった。思い切って自分の思いを上司に話した。上司は「それは誰でも一度思うことかもしれない。でも、仕事をすればしただけ自分に戻ってくるんだぞ。がんばれ。」それは彼が予想したとおりの上司の返答だった。「まだ1年も経っていないのにこの仕事に不満を持ってしまうオレはだめなのか....」「オレは自分の時間が欲しい。」「........普通の生活がしたい。」「.......仕事に生きがいを見出せない...」日を追うごとにそんな思いが強くなり、とうとう彼は会社を休むようになった。朝起きると吐き気がする。布団から出ることが出来ない。「体調が悪いので休みます。」彼は電話で会社に連絡をした。それは最初のうちだけだった。その後、無断欠勤をするようになった。心配した上司は電話をかけてくれた。同僚も電話をかけてくれた。メールもくれた。だが、すべてに無反応な態度をしてしまった。自分が休めば他の同僚に自分の分まで仕事が廻る。同僚にも上司にも迷惑をかけている。そんな思いも気持ちの中にうまれ、そして、自分で自分を追い込んでしまった彼は心も身体も擦り減ってしまっていた。 挫折というなら、これがそうなのだろうか・・・・彼は思った。

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