「沖で待つ」絲山秋子

沖で待つ (文春文庫)

沖で待つ (文春文庫)

沖で待つ

沖で待つ


短編です。

同期入社した同僚である男女間の友情を書いている作品で、主人公の女性(及川さん)が、死んでしまった同僚男性「太っちゃん」とのある約束を実行するために彼の家に行く話。

その約束とは、

もし 先に どちらかが死んだらお互いのHDDを破損させる

いまどきの隠したい秘密ってパソコンの中にこそあり、ハードディスクは個人の秘密の宝庫かもしれない。使命感を持ち、約束どおり誰にも知られずHDDを壊した主人公の及川さん。奇妙にリアルな緊張感のある描写でした。

けれど、その後、太っちゃんのノートが残っている事実を知ります。


『俺は沖で待つ

小さな船でおまえがやって来るのを

俺は大船だ

なにも怖くないぞ』


太っちゃんが妻にあてた詩でした。




及川さんは自分の知りえなかった太っちゃんの姿をそのノートから汲み取ります。先に逝ってしまったかけがえのない同僚への思いだけが残る中、そのときの及川さんの心模様の描き方、それに残された太っちゃんの妻の描き方が淡々としながらも深いんです。
「同期の桜」とはいうけれど、学生時代の同級生とも違う同期入社した間柄って社会に出てそれぞれのみっともない姿とか知ってしまってるわけで、そこだけで見たとしても特別な存在なんでしょうね。そして、恋人でもないし、同性の友達とも異性の友達とも違う、「同期の男女」という関係っていいもんだなぁと思えました。


タイトルの「沖で待つ

あ~、こういうことか・・・と納得しました。余韻が残ります。

絲山さんの本は初めて読みました。働く女性の描き方がリアル、だけど、平易な文章で読みやすかったです。しかも、どこか一本芯が通っているような感じで好感持てました。

併録の「勤労感謝の日」が「沖で待つ」とはまるで別な作品でおかしく面白かったです。



勤労感謝の日」「沖で待つ」「みなみのしまのぶんたろう」の3つが収録されています。

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