うたにまつわる思い出話「鉄人28号」

大学生になったばかりのころ、東京の下町からやってきた女の子とゼミで仲良くなった。
その子の愛称はぶんちゃん。ぶんちゃんという名前の由来は菅原文太から。俳優の彼のように気風が良く男勝りで物怖じもせず、髪はショートで明るくカラッとした印象の子。ゼミで初めて会った時、人懐っこい目をして真っ直ぐに相手を見ながら話す彼女に私は惹かれた。
私たちのゼミは、男女入れて8人、全国あちらこちらから集まってきた志しを同じくする者たち。でも、私たちは慣れない土地に来たばかり、仲間のうちでひとりだけ自宅通学をするぶんちゃんは、そのへんの土地勘もあり、頼りになりそんなぶんちゃんを中心にゼミは仲良しグループになっていった。

最初の夏休み、私は地元に戻ってきていたから、ぶんちゃんに2ヶ月近く会えなくて寂しさを感じてた。夏休みがあけて学校に出向き、彼女と会えたときは嬉しくて、「会いたかったよ」と抱き合ってほっぺにキスしあったほど、お互いに。
女が惚れる女、ぶんちゃんは、そんな人だった。............別にそっち系ではありませんよ。



彼女が、体調を崩したという理由で、しばらく学校を休んだのが、夏休みが過ぎて街路樹が色付き始めたころだ。私たちのゼミは、あいかわらず仲良くて、頻繁に誰かの部屋に集まってワイワイするほうだったけど、彼女がその輪の中にいないということは、何かポッカリと穴があいているようでさびしく、休みが続く彼女をみんなが心配したのだった。しばらくして、彼女はようやく、学校に戻ってきた。しかし、何かがちょっと変わった・・・という私の直感、当たってた。


ぶんちゃん、妊娠していたのだ。
まだ学生、それもなりたての1年生。産むのはその次の年・・・・だとしても、無茶なこと。学生とママと両立出来るのか・・とすぐにその事実が知れ渡ったゼミの仲間たちは、誰もがそう思ったはず。「ぶんちゃん、学校やめるの?」
私には、それが、一番の気がかりだった。

だけど、周囲の心配をよそに、ぶんちゃんは、ひとり、とても明るく振舞っていた。
その時点で、親との話し合い、いいえ、それ前にお腹の子の父親との話し合いは済んでココロを決めていたんだと思う。ぶんちゃんの口から「結婚するんだ」という言葉が出たのは、その後、すぐのこと。「でも、学校はやめない」とひとことも添えて。


ぶんちゃんの決心に私たちゼミの仲間は、なぜか、団結した。
「支えよう」みんなで決めた。そう、、まさしく青春時代だった。


ほどなくして、ぶんちゃんはつわりに襲われる日が続き、東京の下町にある家を出て、電車に乗り学校に来たとしても学校近くの誰かの部屋で横になって過ごす日が多くなり、講義も休みがちになり、講義には出れないぶんちゃんに変わり、私たちは交代でノートをとるということも多かったことを記憶している。

 つわりがおさまって安定期に入った頃、ぶんちゃんは身内だけで結婚式をあげた。私たちはぶんちゃんのためにパーティーを企画した。当時、私の住む部屋がぶんちゃんの家から一番近く、身重のカラダに負担の少ないようにと1LDKの10畳間の私の部屋でぶんちゃんの結婚祝いをすることになった。ぶんちゃんは、その席で、ゼミの仲間に夫を紹介したいとのこと。そして、私たちと、ぶんちゃんの夫になった男性と対面する日がやってきた。
当日、ぶんちゃんと連れ立ってやってきた男性は、学生の私たちから見たらずいぶん大人に見えた。
「そうか、ぶんちゃんの相手は大人の男だったのか」私は、そのとき思った。

そのあと、ぶんちゃんがこう言った

「高校のときの先生なんだ・・・・」

高校の時から、先生と生徒という関係を超えて、ふたりは愛を育んでいたという。ぶんちゃんから初めて聞くその告白に誰もが驚き・・・だけど、私は分かった気がした。ぶんちゃんと初めて言葉を交わした最初の日、ぶんちゃんが醸しだす同年代の子とは違う何か・・・・そういうことだったんだ。私たちは誰もが、ぶんちゃんの夫=先生ということを自分自身に言い聞かせ納得させながら、その宴を楽しもうとしていた気がする。
そして、宴もだいぶ進んだ頃、酔いが廻った先生がスッと立ち上がって「うたいます!」と宣言し、うたいはじまったのが「鉄人28号」だった。

あのときの「鉄人28号」は、いまだに忘れることが出来ない。背筋をピンと伸ばし、大きい声で高らかに歌う先生の「鉄人28号」
この人が、ぶんちゃんが選んだ人・・・・・
"ぶんちゃん、見る目、あるね!"私は、その先生の姿をみて、その歌声を聴いて思った。先生の隣で寄り添い、少し膨らんだお腹をかばいながら歌に合わせて手拍子をするぶんちゃんの笑顔も私の脳裏からは離れない。


2年生になり、産休に入ったぶんちゃんは、元気な女の子を産んだ。その後、夏休みがあけ、学校がある時はぶんちゃんのお母さんが子どもの面倒を見てくれることになったと、また学生に戻ったぶんちゃんの姿がそこにあった。





<鉄人28号(昭和38年)>三木鶏郎作詞・作曲
ビルのまちにガオー
夜のハイウエイにガオー
ダダダダーンと弾丸がくる
ババババーンとはれつする
ビューンと飛んでく鉄人28号

ある時は正義の味方
ある時は悪魔の手先
いいも悪いもリモコン次第
鉄人 鉄人 どこへゆく
ビューンと飛んでく鉄人28号

ビルのまちにガオー
夜のハイウエイにガオー
ダダダダーンと弾丸がくる
ババババーンとはれつする
ビューンと飛んでく鉄人28号

手を握れ 正義の味方
たたきつぶせ 悪魔の手先
敵にわたすな 大事なリモコン
鉄人 鉄人 早くゆけ
ビューンと飛んでく鉄人28号

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