浜田広介記念館とひろすけ童話

去年の10月、この日記を書きました。

むくどりの夢の歌碑(09/10/28)
http://fura55.blog38.fc2.com/blog-entry-368.html

去年、偶然通りかかった場所で「むくどりの夢」の歌碑に出会い、この歌碑に刻まれた言葉が子どもの頃に読んだ「泣いた赤おに」の作者、浜田広介さんが書かれたひろすけ童話のひとつ「むくどりの夢」の一節だったことを知り、その後、ずっと行ってみたいと思っていた場所、山形県高畠町にある、浜田広介記念館に、先週の土曜日、行ってきました。

浜田広介記念館ホームページ
http://www.takahata.or.jp/user/hirosuke/









記念館に入る門の前には「泣いた赤おに」をモチーフにした看板が。
0003.jpg
「ユメノフクラム ヤカタデス ドウゾ アソビニオヨリクダサイ ヒロスケキネンカン」



記念館の中は写真撮影が出来なかったのですが書簡や愛用品などが多数展示されていて、そこから浜田広介さんの生涯を垣間見ることができました。すでに絶版された昔の童話なども展示されていて、ひろすけ童話の展示コーナーやその場で本を手にとって読むことが出来る場所があったりして、日常の時間とは違う、ここだけ時間がゆったり流れていると感じるような、やさしい空間でした。

「スライドショーがはじまりますよ・・・」との受付の女の人の声で厚いカーテンで仕切られた薄暗い部屋に入ると「りゅうの目のなみだ」のスライド上映がはじまるところでした。

◇あらすじ◇
誰も見たことが無い竜。だけど、「そんなことをするとりゅうがでてくるよ。」と、大人におどされる存在で、子どもにとってはとても怖い存在です。
ある町に、竜の怖い話をきいても恐れないふしぎな子どもがいました。この子はたいてい、いつでも外で遊んでいる元気な子で、誰とでもお友達になります。ある日、この少年はみんなから恐れられ嫌われている竜がかわいそうだから、お誕生日に招待したいと母にお願いします。けれど、母は怒ってしまい、周りの人たちは、「この子は、不思議で変わった子どもだ。」と変人扱いをします。
少年は一人で山を越えて、竜に会いにいきました。
「あしたは、ぼくのたんじょう日なの。ごちそうもあるよ。」と、りゅうを誘います。
「これまで、わしはただ嫌われて、憎まれとおしてきたのだよ。それでもよいのか。」と、竜は少年に念を押します。
「ぼくはそんなことはきにしない。きみをいじめたりしない。」
少年の温かい友情に、竜の目からはなみだがながれました。その涙は、ひとつの大きな川をつくり、涙はいつしか大河となり川の流れになりました。少年は竜の背なかにとびのりました。
「なんと、うれしい。」
「わしはこのまま船になろう。そして、やさしいこどもたちをたくさんのせてあげて、楽しいおもいでをたくさん作ってあげよう。」
竜の身体は、だんだん黒い船になりました。町の人々は、大きな船に乗った少年を見てみんなおどろきました。



人々から恐れられ嫌われて、ずっとひとりぼっちだった竜。しかし、少年の純真でやさしい心にふれ、自らを船に変貌させて、人々の役にたつことを選んだ竜と心やさしい少年の物語です。周囲に惑わされず、自分を信じて優しい気持ちを貫くことの大事さをこの物語は教えてくれていると思います。


りゅうの目のなみだ (ひろすけ童話絵本)りゅうの目のなみだ (ひろすけ童話絵本)
(2005/11/25)
浜田 廣介

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もうひとつ、ひろすけ童話で思い出すのはやっぱり「泣いた赤おに」です。
記念館の入り口では、赤おにさんが笑っていました。
0006.jpg


この童話の主人公は鬼ですが、ここでも差別される者の哀しみを描いています。

◇あらすじ◇
人間が大好きな青おにと赤おに。
人間と仲良くなりたい赤おにの気持ちを知った青おには、友達の赤おにのために
「村で僕が暴れるから、僕をおさえて、僕の頭をぽかぽかなぐればいい。そうすれば人間たちは君を信用するさ」と青おには赤おにに提案します。赤おには躊躇しながらもその言葉に従いました。
そうやって人間と仲良くなれた赤おにでしたが、自分といっしょにいれば、いつか赤おには人間に疑われてしまう・・・と考えた青おには、赤おにの元から去っていきます。
青おにが書き残した手紙には赤おにに人間と仲良く暮らすようにという言葉とともに

「ボクハコレカラ ナガイ タビニ デル コトニシマシタ。
---サヨウナラ、キミ、カラダヲ ダイジニシテクダサイ。
ドコマデモ キミノ トモダチ」

と書かれていました。

赤おにはだまってそれをよみました。2ども3どもよみました。
戸に手をかけて顔をおしつけ、しくしくとなみだをながして泣きました。
泣いた赤おに」より


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余韻が残る「泣いた赤おに」の終わり方です。この物語は、子どもだけでなく大人になった者にも、いろいろなことを考えさせてくれるのではないでしょうか。それは、見た目だけで判断してしまう人間の愚かさや大切なことは何か・・ということ。さらには、自分に関わる者との信頼関係、思いやりってどういうことなんだろう・・・などなど。


ないた赤おに (ひろすけ童話絵本)ないた赤おに (ひろすけ童話絵本)
(2005/03/25)
浜田 廣介

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記念館の脇には、浜田広介さんの生家が再現され、家の中は靴を脱いで見学できるようになっています。そのなかに一つ前の日記に書いた足踏みミシンが置かれていました。部屋には囲炉裏があり、囲炉裏端に腰をおろすと、昔の暮らしなんかにいろいろと思いを馳せ、心が落ち着く感じがしました。土間がある、囲炉裏がある、縁側がある、畳敷きの日本間、いいですね。

Hearth


浜田広介さんは、幼い頃に両親の不和により大好きな母と離別するという経験をしているそうです。不遇な体験をしながらも、人々の心に残る作品を描いてこれた背景には、別れた母への思いや、周囲でお世話してくれた人々のあたたかい愛情に包まれていたからなのかもしれないなーと、記念館のなかの展示品や、書簡を眺めていて思いました。
広介さんの作品は、余韻の残る哀しい物語が多いですが、詩情豊かであたたかさも感じられます。そこには浜田広介さんの人間に対する思いがいっぱい詰まっている気がします。そして、今を生きる私たちが、忘れちゃいけないものがそこには記されていると感じます。


さいごに、「むくどりの夢

◇あらすじ◇
ひろい野原のまん中に、古いクリの木がありました。
その中に、とうさんむくどりと子どものむくどりが住んでいました。
むくどりの子は、とうさんにかあさんどりは遠くに
出かけていっているときかされていました。
ほんとうは、もうこの世にいないのに・・
だんだんふしぎになってきたむくどりの子は、
とうさんにたずねます。
「いつかえるの?」「海をこえたの?」「山をこえたの?」
とうさんは、「ああ、そうだよ」とこたえます。

十日たっても二十日たっても、かあさんはかえりません。
ある日、木の枝にいちまいだけついていた枯れはが、
カサコソなりました。
むくどりの子は、その音がかあさんどりの
羽音のように聞こえてしかたありませんでした。

むくどりの子は、馬の尾の毛でその葉をむすび
風が吹いてもとばないようにします。
その夜、むくどりの子は夢をみます。
白い羽のとりが、巣の中に入ってきたところで目がさめます。

すぐに外に出てみると、かれ葉にうすい雪が
かかっていました。


なんとも切ない話です。幼いむくどりの子が、かあさんを一生懸命待っている姿に心を打たれます。


むく鳥のゆめ (ひろすけ童話絵本)むく鳥のゆめ (ひろすけ童話絵本)
(2004/12/15)
浜田 廣介

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ここ記念館にも「むくどりの夢」の歌碑がありました。
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今回、記念館を訪れて、子どもの頃に読んだ絵本に再会しました。そして思うのは大人になって読む童話は、なんとも味わい深いものがあるということでした。素朴な風景が広がる浜田広介記念館は小さな、でもあたたかい気持ちを持てる場所。こういう場所を訪れるのも楽しいものです。今回は、カゼひいちゃいましたが。








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tag : 浜田広介 むくどりの夢 泣いた赤おに りゅうの目のなみだ おでかけ

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